OTENKI Data Science

TechBlog

K.Sakurai

【データ解説】2kmメッシュ推計日射量

はじめに

2020年6月より、2kmメッシュ推計日射量を提供しています。
2kmメッシュ推計日射量は、気象衛星データ等から推定した10分毎の全天日射量データです。
気象庁は現在、気象衛星ひまわり8号・9号を運用しており、これらの高性能な観測機能により、本データの開発も実現しています。
日射量の推定値は、太陽光発電量の推定に利用する等、再生可能エネルギー分野や電力分野において活用されています。太陽光発電は、太陽光が雲によって遮られることで不安定な発電量になるため、詳細な日射量の実況値は、太陽光パネルの故障診断や電力供給量の推定等に利用できると考えられます。
今回は、2kmメッシュ推計日射量の概要と日射量推定手法について解説します。

2kmメッシュ推計日射量の概要

2kmメッシュ推計日射量は、水平分解能約2km(等緯度経度、0.02度×0.02度)、10分毎の日射量の実況推定値です。
日射量の単位はWm-2で、地表面に対して下向きの単位時間あたりの短波放射量を表します。
計算領域は日本域(北緯22.4~47.6度、東経120~150度)、日本時間3:00~20:50の時間帯で解析時刻から約15分後に配信します。
ファイルフォーマットはGRIB2形式です。データ容量が大きいため、複合圧縮方式を採用しています。そのデータ容量は、圧縮率によって異なり、最大で日中に約2MB程度です。
過去データは、2019年6月1日から再計算を行いアーカイブしています。ただし、2019年12月11日06UTC以前は1時間毎になっています。

日射量推定手法

2kmメッシュ推計日射量における日射量推定の方法は、下図のように、晴天状態の地表面全天日射量と雲による遮蔽率から求めています。日射が100%降り注ぐと仮定した場合の全天日射量を求めた上で、高分解能雲情報を用いた日照時間推定から雲による遮蔽率を算出しています。
この雲による遮蔽率の式を得るために、過去のアメダス観測データを用いて高分解能雲情報との関係性を解析しました。
日照観測は、サンプル抽出すると、ほとんどが1(日照がある)か0(日照がない)のどちらかであるので、単純に回帰分析することはできません。細かい計算式はここでは省略しますが、これらの理由から雲による遮蔽率という概念で推定式を構成する工夫をしています。
ときどき、計算にAIを使っているんですか、と質問を受けることがありますが、知能と呼べるほど複雑ではなく、物理や統計に基づいた原理的なアルゴリズムを使っています。

推定精度

2kmメッシュ推計日射量の推定精度は、地上気象観測値との比較から、誤差は季節によって異なりますが、ME(Mean Error:平均誤差)は1Jm-2以下、RMSE(Root Mean Square Error:二乗平均平方根誤差)は約100kJm-2程度です。ここで、地上気象観測値との比較の際は、2kmメッシュ推計日射量を前1時間積算値に換算して解析しています。
下図は、2020年2月のつくばの2kmメッシュ推計日射量と観測値のグラフです。
推定値は、晴天時は観測値とほぼ一致していることはもちろん、雲によって日射が減少する変動を概ね良く捉えることができています。
これは、高分解能雲情報が良い精度で雲情報を推定できているからとも言えます。この結果を見た時は、気象庁データの高品質さに感動を覚えました。

まとめ

2kmメッシュ推計日射量のデータ仕様の概要と日射量推定手法および推定精度について解説しました。
2kmメッシュ推計日射量は10分毎という高頻度であることが特徴です。また、現在、日射量実況値としては、気象庁データにはなく(いずれ現れると思いますが)、ラインナップの中では本データが唯一です。高精細な日射量推定データを是非ご活用ください。

この記事を書いた人

K.Sakurai

気象予報士/技術士(応用理学)/防災士 
総合気象数値計算システムSACRA、データ提供システムCOSMOS及びお天気データサイエンスの開発を一から携わる。
WRF-5kmモデル、虹予報、虹ナウキャスト、1㎞メッシュ雨雪判別予測データを開発。
趣味はバドミントンと登山。(自粛期間中は自宅トレ。プロテインの消費が激しい。)

前の記事へ Slackを用いた防災情報タイムライン(Pythonで防災情報XMLを扱う)
記事一覧へ
次の記事へ PUSH配信のFTPエラーメッセージとトラブルシューティング
  1. お天気データサイエンスHOME
  2. 技術情報
  3. 技術ブログ
  4. 【データ解説】2kmメッシュ推計日射量