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K.Sakurai

「2024年夏は落雷が多い!?」雷統計データ解説

雷観測データの取材協力データ提供

日本経済新聞様より取材協力のお問合せがあり、2017年~2024年の雷観測データを提供しました。

東京の7月の落雷、過去7年の8.5倍 高海水温が影響か(2024年8月19日付、日本経済新聞社)

記事によると、東京の7月の雷日数は1916年の統計開始以降で2番目に多かったとのことですが、雷観測データで落雷の回数をカウントすると2017〜23年平均の8.5倍の3万回超だったとのことです。
気象庁の統計では雷日数はありますが、落雷回数はなく、雷観測データを利用することでどれくらいの落雷があったかを定量的に示すことができているかと思います。
この記事の反響で、各報道番組(下記リンク参照)にも関東地方の落雷回数をカウントした統計データを作成してデータ提供することになりました。
番組では解説しきれない落雷回数のカウント方法を少し補足したいと思います。
なぜこの夏の落雷回数が多いかは、各メディアで専門家の方が解説されていますが、また今夏のデータが揃った時点で詳しく考察できればと思います。

落雷回数のカウント方法

雷観測データは全国30か所に設置された雷監視システム(LIDEN:LIghtning DEtection Network system)による雷観測位置の緯度経度や発生時刻などを標定した気象庁データです。
今回は、2017年~2024年の7月および8月(2024年はデータ提供時点まで)における1分毎の雷観測データを用いて、概ね関東平野を囲う北緯35.2~36.8度・東経138.7~140.74の領域内における落雷の数を月別にカウントしました。
雷観測データには放電種別と雷多重度の情報が含まれていますが、雷多重度は考慮せず、放電種別が対地放電の数をカウントしています。

※対地放電:雷雲と大地の間の放電で、落雷のこと
※雷多重度:対地放電での一連の放電過程においては雷撃が連続して発生することがあり、後続雷撃の数のこと。

【データ提供先番組】(敬称略)

・テレビ朝日「報道ステーション」
2024年8月20日放送
原因は“暑さと黒潮蛇行”関東でカミナリ大幅増“例年の倍”に…連日のゲリラ雷雨

・TBSテレビ「Nスタ」
2024年8月21日放送
「ゲリラ豪雨」なぜ夜間に増加?“落雷”は例年の2倍に…停電も連日発生【Nスタ解説】

・TBSテレビ「THE TIME」
2024年8月23日放送
関心度ランキングで取り上げられました。

・テレビ神奈川「News Link」※2024/09/10追記
2024年9月5日放送
【震災・防災】関東地方で落雷急増… 落雷対策「避雷球」に注目 成長続ける横浜市内の企業【News Linkオンライン】

【使用データと問合せ先】

- 雷観測データ
提供データ形式:CSV、バイナリ
雷監視システム(LIDEN:LIghtning DEtection Network system)により気象庁が観測した雷のデータです。LIDENは、全国30カ所に設置した検知局と東京都内に設置した中央処理局で構成され、検知局で受信した雷に伴う電磁波などのデータを中央処理局に送信・処理し、雷観測位置の緯度経度や発生時刻などを標定しています。
※気象庁「雷監視システム」:https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/toppuu/thunder1-2.html

- お問い合わせ
落雷回数のデータのお問い合わせは「お問い合わせフォーム」よりお願いいたします。

【関連記事】

※2024/09/30追記
- 2024年7~8月の関東・近畿における落雷数を直近の年と比較してみた

この記事を書いた人

K.Sakurai

気象予報士/技術士(応用理学)/防災士 
総合気象数値計算システムSACRA、データ提供システムCOSMOS及びお天気データサイエンスの開発に一から携わる。
WRF-5kmモデル、虹予報、虹ナウキャスト、1㎞メッシュ雨雪判別予測データ、2kmメッシュ推計日射量を開発。
趣味はバドミントンと登山。

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