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K.Sakurai

気象データの基礎知識と処理技術を習得できる!~気象データ基礎研修~

産業界における気象データの利活用状況

気象庁による「産業界における気象データの利活用状況に関する調査(令和2年度)※1」によると、気象データを活用している企業は約3割、そのうち、データ分析・将来予測できる高度利用者はその3分の1、経験と勘で気象データを活用しているのは3分の2といわれています(図1)。調査では、事業において何らかの気象の影響を自覚している企業は約6割と高い割合であるのに対し、気象データの活用が進まない原因やボトルネックがまとめられています。

図1 気象データの利活用状況※気象庁委託調査「産業界における気象データの利活用状況に関する調査報告書」(令和3年2月)より


気象データを利活用していない理由として、「利用手法を知らない」が最も多いようですが、「利活用のための専門知識を持った人材が自社にいない」という人材不足の要因も挙げられています。昨今のデータ分析関連の話題性から、気象データの活用事例は様々な場面で見聞きするようになりましたので、この調査結果をもとに気象庁をはじめとする気象ビジネス推進コンソーシアム等の活動による成果も出始めているのではと思います。また、人材不足に関しては、気象データアナリスト育成講座があり、気象データの分析のために必要な知識や技術を持った人材が増えつつあるかもしれません。

気象データアナリスト育成講座の課題

気象データアナリスト育成講座は、気象データの分析のために修得すべき知識・技術(スキルセット)や育成講座の標準的なカリキュラムのガイドラインに適合し、かつ経済産業省「第四次産業革命スキル習得講座認定制度」(Reスキル)で認定された講座です。気象データは、データ種類が多く、観測や予測といった概念、予測誤差などの特徴があり、気象データを適切に扱うためには、特有の専門知識を学ぶ必要があるとされています。

一方で、気象庁の調査(※1)では、気象データアナリスト利活用への関心については、「関心がない」企業が約9割となっていて、気象データ自体の関心の高さとは裏腹に気象データの分析に特化した人材の関心は比較的低いことがわかります(図2)。このことから、気象データの利活用に関心のある企業は、「利活用のための専門知識を持った人材」として、気象データに特化した人材ではなく、気象データの知識”も”持った人材を求めており、気象データアナリストほど広く深い知識は必要としていない企業が多いのではと思います。もちろん、気象データアナリストのように様々な事業データと様々な気象データの知識と分析技術を持つスペシャリストも求められるケースはあるので、気象データアナリストを否定する意図はありません。

図2 気象データアナリスト利活用への関心※気象庁委託調査「産業界における気象データの利活用状況に関する調査報告書」(令和3年2月)より


気象データの知識は、その種類や概念などの取り扱う範囲がとても広く、場合によっては大学で学ぶような気象学や統計学の内容まで含まれます。ただ、気象データを利活用するにあたって、全ての範囲を理解する必要はないケースがほとんどと思います。気象データを利用する方全てが気象データアナリストである必要はないはずです。特に、業務の専門分野が別にあり、気象学に触れたことが無く気象データを扱うのが初めての方には、気象データアナリスト育成講座はハードルが高いかもしれません。

気象データ基礎研修のメリットと今後


そこで、当社は、気象の専門知識がない方でも、気象データの基礎知識と処理技術を習得することができる、気象データ基礎研修を開講しました。
講座の内容は、気象データアナリスト育成講座よりも基礎的で、かつ、実用的です。

気象データ基礎研修のメリットを挙げると、以下の通りです。
  • 気象の知識が無くても基礎から学べる
  • 動画形式のeラーニングのため、自分のタイミングで、必要な部分だけでもOK
  • 気象データのファイル変換について、自分が使用する言語や環境に依存しない方法を習得できる
  • 最新の気象データのトピックについて知ることができる
気象の知識は、気象予報士講座を担当する講師が基礎から丁寧に解説します。気象予報士を目指す人向けではないため、事前の知識はもちろん、参考書を用意する必要もありません。
気象データのファイル変換の内容では、新しいプログラミング言語等を学ぶ必要はありません。ご自分の普段利用する言語・環境でも気象データを利用できるような方法を解説しますので、すぐ実践・実用できます。

お天気データサイエンスのユーザーさんとお話すると、「導入してみたいけど、気象データの扱い方がわからない」、「気象データを扱っているけど、新人が来るたびに基礎知識を教えなければならない」という課題を度々お聞きすることがありますが、そのような場合にとてもマッチすると思います。
さらに、気象データ基礎研修を受けた方が次のステップとして気象データアナリスト育成講座を選択し、より深い知識と技術を持つ気象データのスペシャリストが増えることにも期待しています。

私も講師として気象データ基礎研修の動画制作に関わりましたが、ご要望を反映しきれなかった内容(活用事例によってどの気象データが利用できるかの解説等)を今後追加したいと考えています。また、最新の気象データに関する知識(仕様変更の予定)も定期的に更新したいと思います。

有料にはなりますが、価値ある内容と思いますので、是非ご一考いただけると嬉しく思います。

参考

※1 気象庁:産業界における気象データの利活用状況に関する調査(令和2年度)

この記事を書いた人

K.Sakurai

気象予報士/技術士(応用理学)/防災士 
総合気象数値計算システムSACRA、データ提供システムCOSMOS及びお天気データサイエンスの開発に一から携わる。
WRF-5kmモデルGPV、虹予報、虹情報、1㎞メッシュ雨雪判別予測データ、2kmメッシュ推計日射量、1kmメッシュ暑さ指数を開発。
「ビジネス活用のための気象データ基礎研修」では講師を担当。
趣味はバドミントンと登山。

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